【本】 風は西から 村山 由佳さん
この本の表紙と題名をみてどんな内容を想像しますか?
ワタミ実話の過労自殺をモデル化した小説。
驚いた。
過酷な労働環境に追い詰められて、救いのない精神状態まで追い込まれ自殺をしてしまった健介のために、ブラック企業【山背】と闘う両親と恋人千秋の話。
表紙と題名からは、想像もつかなかった内容が、あまりにも重く、
本は私の睡眠導入剤の筈だったが……寝られるわけもなく、
寝なければと思いながらも、読むのをやめられないほど引き込まれた。
とってもつらい本に涙が出る。
村山由佳さんの筆力がすごいので、一つひとつの言葉が心に沁みる。
健介と千秋がドライブで声を張り上げて歌った。
明日へ突っ走れ♬ 未来へ突っ走れ♬ 魂で走れ♬
明日はもっといいぜ♬ 未来はずっといいぜ♬ 魂でいこうぜ♬
この曲に合わせて二人それぞれが窓から腕を突きだし、拳を空に突き上げた。
もう一回聴こうよ、と何度も繰り返して、一緒に歌って、わけもなく笑い転げた日。
千秋が健介の携帯を鳴らしたが、本人が聴くことのない最後の着信音。
明日はもっといーいぜ
未来はずっといーいぜ
健介が亡くなって以来、辛くて着信音からはずして、鳴るはずのない千秋の携帯に
明日へ突っ走ーれ
未来へ突っ走ーれ
魂で走ーーーれーー と
3年9ヶ月の闘いに感謝を伝えたかったのか?
千秋が呟くように口ずさむ
明日は、きっといいぜ
未来は、きっといいぜ・・・・
生からから死、この歌詞が……何とも切なく、胸を締め付ける。
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